「トイ・ストーリー4」評価★4.0点(5点満点)
ディズニーピクサーの大人気シリーズの新作「トイ・ストーリー4」を見てきました!
「トイ・ストーリー3で完結したのでは!?4を作る意味ある!?」という衝撃と不安をいだきながら鑑賞。
結論からいえば、「トイ・ストーリー4」を作る意味は大いにあったと思います。
それでは「トイ・ストーリー4」の感想やあらすじをまとめていきます!
「トイ・ストーリー4」のあらすじ
「トイ・ストーリー3」にて、アンディからウッディたちを譲り受けた女の子ボニー。
時が経ち、変わらずボニーに遊んでもらうオモチャたちだが、ウッディはボニーに遊んでもらう機会がめっきり減っていた。
ある日、ボニーが幼稚園の体験会に参加するも、内気なボニーは周りと馴染めず泣いてしまう。そんなボニーを救うため、バッグに忍び込んできたウッディは、ボニーの工作を手助けする。
ウッディの手助けもあり、ボニーは先割れスプーンを使って「フォーキー」を作り出す。ボニーはフォーキーをとても気に入り、ようやく笑顔を取り戻す。
しかし、フォーキーは自分を「オモチャ」ではなく「ゴミ」と思っていて、すぐゴミ箱に入りたがる。そしてボニーの為に、ウッディはフォーキーをまるで子守りのように見守る。
そして、ボニーの家族はキャンピングカーで旅行することになる。お気に入りのオモチャとフォーキーを持っていくボニーだが、フォーキーがとうとう逃げ出してしまう。
ウッディはフォーキーを見つけ、ボニーたちの車に戻ろうとするが、その途中でアンティークショップを見つける。そこには、かつての共に暮らしていたボー・ピープの電気スタンドがあり…?
「トイ・ストーリー4」の監督・キャスト
■監督
ジョシュ・クーリー
■キャスト
ボー・ピープ…アニー・ポッツ(日本版)戸田恵子
フォーキー…トニー・ヘイル(日本版)竜星涼
ギャビー・ギャビー…クリスティーナ・ヘンドリックス(日本版)新木優子
今作は今までトイ・ストーリーシリーズを作ってきたジョン・ラセターではなく、新しい監督を起用。というのもジョン・ラセターは問題を起こして、会社を解雇されてしまったんですね。
新しい監督に抜擢されたのは「インサイド・ヘッド」の脚本を務めたジョシュ・クーリー。この変更にあたり、元々の脚本などもガラリと変更されたのだとか。
「なんか今までのトイストーリーと違うな」という違和感はこれか、と妙に納得しました。
ちなみに、私は日本語吹替で見てきました。トイ・ストーリーは小さい頃から唐沢さんと所ジョージさんの声で見ていたので、日本語吹替のほうがしっくり来るんですよね。
そして、今作のキャラは何と言っても「トイ・ストーリー2」以来ぶりの「ボー・ピープ」。彼女は今作のキーパーソンです。
さらに、なんとあのキアヌ・リーブスも声優として参加しています、「デューク・カブーン」という強烈なキャラなのですが、妙に合っているwwww
キアヌがこのキャラを演じているなら、アメリカ版のも見てみたいと思えるほど最高のキャラです。今作で一番好きなキャラ。
日本語版の森川さんも最高に面白かったですよww
一部の映像は公開されているので、是非ご覧ください。
「トイ・ストーリー4」感想まとめ ※ネタバレあり
変わらない男VS変わる女
「トイ・ストーリー3」から9年。「トイ・ストーリー」の仲間たちがスクリーンに帰ってきました。
しかし、この9年の間に私たちの社会だけでなく、トイ・ストーリーの彼らも変化が生じていました。
まず大きな変化は、ウッディはボニーに遊ばれなくなっていたこと。ボニーはバズやジェシーなどとは遊びますが、ウッディはクローゼットでホコリをかぶる日が増えていました。要はスタメンから外されてしまったのです。
自分の存在価値を見いだせなくなっていたウッディは、ボニーのお気に入りであるフォーキーの世話をすることで、ボニーの笑顔を守ろうと奮闘します。
そして、もう一つの変化はボー・ピープ。「トイ・ストーリー2」以来、消息不明だった彼女。
実はアンディのオモチャだったボーは、その後アンディの妹モリ―に受け継がれたが、最後は知人男性に譲られていたのです。
ウッディはボーが連れて行かれるのを止めようとしますが、ボーはウッディに「子供はいつかオモチャを手放すのよ」と諭し、自ら離れていきます。
その後、ボーはさまざまな持ち主のもとを経て、アンティークショップに辿り着くも何年も飾られたままの生活に。
そこで、ボーは「待っているだけではダメだ」と気が付き、ショップを抜け出して自由な生活を手に入れます。
1、2では可愛いヒロイン的存在だったボーですが、今作では随分と雰囲気が変わっていきました。
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可愛らしいスカートはマントになり、動きやすいパンツスタイルに。仲間内でも「頼れる姉御的なキャラ」となっており、ウッディのみならず「え?ボー???何があったん???」と観客全員がその変化に驚かされます。
スカンクの車?でブイブイいわせてる姿には、思わず惚れ惚れww
ここで描かれるのは「変われない男」と「変わっていく女」の対比です。
ウッディは「遊ばれなくなった自分」に寂しさを感じてはいるものの、「誰かのオモチャ」でいることが自分の役割だと譲りません。
一方、ボーはそのような固定概念にこだわらず、誰かのオモチャにならなくてもオモチャの役割は果たせると主張します。
ウッディと離れている間、ボーは自分で道を切り開き、新しい人生を謳歌していたのです。
これ男性陣からすると、少し嫌な展開かもしれませんね(笑)。かつての自分の女が、いつのまにか自分よりも何倍も成長して再開する…しかも自分が落ち目の時に(笑)。
ボーは女の子のオモチャだからという「役割」から抜け出し、広い世界を楽しんでいます。要は選ばれる人生から、自身で人生を選ぶようになったのです。
めちゃくちゃ現代的なテーマですよね。現代の女性像をそのまま反映しているかのよう。
「女は家庭に入れ」という自分で選択できない人生ではなく、自分でどこで生きるかを決める人生。
ボー自分で選択したことにより「こんなにも美しい景色があるなんて知らなかったわ」と新しい世界を見ることができ、前よりもたくましく成長していたのです。
私はどこででも生きていける。諦めなければ。
そんな強い女性を、大胆なキャラ変更で描き切っています。正直、このボーのキャラがあまりにも良すぎて、もうそれだけで高得点をあげたい出来です…!
これからを生きる子どもたちへのメッセージ
「トイ・ストーリー3」と言えば、これほどまでに完璧なラストはない!と思えるほどの大傑作でしたが、4で描かれるのは3のその後の世界。
そこではアニメ映画とは思えないほど残酷な現実を描き出していました。
その現実というのは、ウッディがボニーに選ばれないというなんとも辛い事実。
トイストーリー3の感動的なラストは何だったの!?と思うのも無理はないですが、私からすると「仕方ないかな」とも思える展開。
ボニーは女の子ですし、その子によってお気に入りのオモチャが変わるのは当然のこと。これはボニーに罪はないし、もちろんウッディだって何の罪もない。
この展開に関して批判している人もいますが、実はトイストーリー3の時点で、今作4の構想があったのだそう。監督さんがこんなインタビューを答えていました。
彼曰く、「『トイ・ストーリー3』で終わりだとは全く思っていなかった」と。「『トイ・ストーリー3』でウッディとアンディの物語は終わってしまったけれども、ウッディの話としてはまだ終わっていない」と聞いて、私も「確かにそうだ」と納得しました。
「彼」とは、トイストーリー1の脚本家アンドリュー・スタントン。彼は今までのトイストーリー全てに携わっています。このインタビューからも分かる通り、トイストーリー4はウッディの物語なのです。
「トイ・ストーリー3」はどちらかといえば「トイ・ストーリー1」から一緒に成長してきた、かつての子供たちに対して「今まで一緒に成長してくれてありがとう」というメッセージだったのに対し「トイ・ストーリー4」はこれから生きる子どもたちに対してのメッセージ強いように思えました。
そのメッセージとはどうしもない現実の中で、君たちはどう生きていくか。
子どもときは分からないですが、大人になると理不尽なことも、辛い現実もたくさんあります。
ウッディも同じでボニーとは遊んでもらえずオモチャとしての喜びを失いつつありました。思い通りにいかない現実にウッディは苦しむことになります。
しかし、ボーに出会ったことで今の場所じゃなくても生きていけるし、世界には自分を必要としている人がきっといるという事実に気がつきます。
結果ウッディはみんなから離れて、ボーとともに生きていくことを選びます。
これは”ここじゃないどこか”でも自分を必要としている人は必ずいるよ、という凄くポジティブで優しいメッセージに思えました。
ウッディも新しい場所を見つけたし、君だって必ず輝ける場所があるよと。
今回初登場のギャビー・ギャビーも同じです。
彼女はレトロなお人形でアンティークショップ店主の孫とおままごとをするのを夢見ていました。しかし、彼女は音声部品が壊れていて、うまく声が出せません。
彼女はウッディの音声部品が手に入れば自分も選ばれるはずと考え、フォーキーを人質にし、ウッディと交渉しようとしたのです。その話を聞いたウッディは、フォーキーを返してもらう代わりに、自分の音声部品をあげることします。
キレイな声が出せるようになったギャビーは大喜びし少女の前に現れたものの、古めかしいギャビーが気に入らなかったのか「いらない」と投げ捨ててしまいます。
そんなギャビーにウッディは「待っているだけじゃ変わらない」と彼女を救い出します。そして彼女は自発的に動き出したことで、新しい持ち主を見つけました。
あの狭いアンティークショップにいるだけでは分からない、新しい世界を彼女は見つけ出せたのです。
学校・家庭・職場…どんな場所でも理不尽で辛い現実はきっとある。
でも、そこで立ち止まっていても何も変わらない。
前に進んでいくことで新しい世界も見えてくるし、実はその世界は今よりも、もっとずっと美しいかもしれない。あなたを望んでいる人がいるかもしれない。
これもすごく現代的なメッセージだなぁと思えました。
完結編にするには少し寂しすぎる!
ただ、一つマイナス点をあげるならば、バズや従来の仲間たちが空気すぎる!ということ。
今回はウッディとボーの仲間たち(あと新キャラのぬいぐるみ)がメインで、バズやそのほかの仲間たちが全くと言っていいほど活躍しません。
トイ・ストーリーといえば、小さなオモチャたちが外の世界でドタバタとながらも皆の個性を活かして解決するのが楽しい映画なハズが…。今作はボーとカブーンくらいしか活躍しておりません(笑)。
バズは一応ウッディを助けに行くのですが、それ以外の仲間は車でオロオロしているだけ…。正直、今までのトイストーリーの良さは感じられないのはマイナスポイント。
往年のファンが怒りたくなるのも無理はないかと。
最後もウッディはめちゃくちゃあっさり皆と別れますし…(笑)。今までトイ・ストーリーが築いてきた長い歴史を、こんなにあっさり終わらすの!?とちょっとビビりました。
次回作があるのかは不明ですが、これが完結編だとしたら、ちょっと寂しすぎる印象…。だったら3で終わってほしかった!というコメントもよく分かります。
でも、ボーの成長した姿、そしてウッディの決断。
これを描いただけでも、「トイ・ストーリー4」は作る意味があったんじゃないかな~と思えます。物凄く現代的な、今だからこそ必要なメッセージを詰め込んだ作品です。
SNS等では賛否両論が起きていますが、はたしてあなたはどう見るか。
是非、劇場でその結末を見てみましょう!