【ジョジョ・ラビット】ネタバレ感想・考察まとめ!ジョジョにとってヒトラーとは何だったのか?

ジョジョ・ラビット」個人的評価★4.0点(5点満点)

こんにちは!もっちゃんです!

 

映画「ジョジョ・ラビット」見てきたので、感想や考察をまとめていこうと思います!

トロント国際映画祭で観客賞を受賞してから、ずーーーーと気になっていた作品でしたので、ようやく見れたー!って感じです。

 

ナチスドイツという重いテーマをギャグたっぷりに描き、見終わった後は何だか胸がジーーーンと温かくなる不思議な映画でした。

 

それでは、「ジョジョ・ラビット」の感想や考察をまとめていきます!ネタバレありですので、ご注意を。

 

ジョジョ・ラビット」あらすじ

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〜あらすじ〜 

物語の舞台は、第二次世界大戦下のドイツ。10歳の少年ジョジョは、空想上の友達であるアドルフ・ヒトラーの助けを借りて、青少年集団ヒトラーユーゲントの立派な兵士になろうと奮闘していた。

 

しかし、心優しいジョジョは、訓練でウサギを殺すことができず、教官から〈ジョジョ・ラビット〉という不名誉なあだ名をつけられる。

 

そんな中、ジョジョは母親と二人で暮らす家の隠し部屋に、ユダヤ人少女エルサが匿われていることに気づく。

やがてジョジョは皮肉屋のアドルフの目を気にしながらも、強く勇敢なエルサに惹かれていく──。

引用: INTRODUCTION | 映画『ジョジョ・ラビット』公式サイト

 

 舞台は第二次世界対戦で、しかもナチスドイツ。とはいえ、今までの戦争映画とは違い、この作品はコメディなので子どもも大人もゲラゲラ笑える作品になっています。

戦争映画ですが残酷な描写はあまりなく、あらゆる年代が楽しめる作品でしたよ!

 

ジョジョ・ラビット」監督・キャスト

監督タイカ・ワイティティ

 

MCUの「マイティソー・バトルロワイヤル」で一躍有名になったニュージーランド出身の監督です。今までのソーシリーズから一転し、全編コメディ満載の一作に仕上げ、世界的に大ヒット。

 

ジョジョ・ラビット」では、ジョジョの空想上の友人アドルフ・ヒトラーも演じています。才能豊かすぎる!

キャスト

ヨハネス・ジョジョ・ベッツラー…ローマン・グリフィン・デイヴィス

●エルサ・コール…トーマシン・マッケンジー

●ロージー・ベッツラー…スカーレット・ヨハンソン

アドルフ・ヒトラータイカ・ワイティティ

●クレンツェンドルフ大尉…サム・ロックウェル

 

豪華キャストが勢揃い!各キャストが本当に良い演技を見せてくれました。

 

それと、サムロック・ウィル演じるキャプテンKの部下を演じてた俳優「アルフィー・アレン」。

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鑑賞中「この俳優さんめっちゃ見たことあるな〜」とモヤモヤしてたんですが、この人「ジョン・ウィック」でジョンに追いかけ回されるドラ息子を演じてた人ですね!!

だいぶ大人っぽい雰囲気になってて全然気が付きませんでした!!

ちなみに主演の男の子は今作が俳優デビュー作!初めてとは思えないほど素晴らしい演技でした!

 

ジョジョ・ラビット」ネタバレ感想・考察

コメディで描かれるナチスドイツの滑稽さ

トロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞した「ジョジョ・ラビット」。第二次世界大戦ナチスドイツをユーモアたっぷりに描いた一風変わった戦争映画です。

 

もう初っ端からシニカルなギャグがポンポンと放り込まれ、「あれ?これ第二次世界大戦の話だよね?」と忘れてしまうほどにユーモラス。

 

ビートルズの「I Want To Hold Your Hand」にのせ、人々がヒトラーに熱狂しているOP映像には「ふざけすぎでは?(笑)」とこっちがハラハラしちゃいました(笑)。

 

そして、タイカ・ワイティティ監督自身が演じるジョジョの空想上のヒトラーは皮肉が効きすぎていて、思わず苦笑いしてしまう場面も。

 

「心配するな。私だって「お前はこの国を破壊させる!」だの何だの沢山言われた」

「ドイツ人は!マインドコントールなんてされない!されてはいけない!」

 

などなど、それをヒトラーに言わせるの!?と驚いてしまうセリフが盛りだくさん。

 

とはいえ、一歩下がって考えてみれば「あの時代はこんなアホな奴に酔狂していた」という物凄いシニカルな構造になっているんですよね。

作中では「ユダヤ人は悪魔と交尾する」だの「ユダヤ人は頭に角がある」だのバカバカしい”ユダヤ人像”が出てきますが、その歪んだ偏見により何人のユダヤ人が収容所に送られ、その生涯を終えたのか

 

クスクスと笑いながらも、ふとそういった事実を思い出し、心にずしっと重しのようなものを置かれた気分になりました。

 

誰かの「ヘイト」が国全体に広がり、取り返しがつかない状態になったのは、ユダヤ人迫害だけではありません。

ルワンダの大虐殺もラジオから流れてきたヘイトにより引き起こされていますし、

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今の日本だって平気でヘイトが行われていていますよね。

headlines.yahoo.co.jp

 

ウィティティ監督は母親がユダヤ人で、偏見やマイノリティに苦しんだこともあるそう。そんな彼だからこそ、ヘイトで満ちた今の時代に危機感を覚え、この作品を作りあげたのでしょう。

 

戦争を知らない私たち世代が、どう戦争を考え、伝えていくのか。

ワイティティ監督は、戦争の滑稽さと残忍さを新しい形で描き出してくれました。いやー監督、演技もして監督もして本当に天才ですわ。

 

ジョジョにとってヒトラーとは何だったのか?

この物語のキーパンソンは何と言っても空想上のヒトラーの存在

ちょっぴり内気で心優しい少年ジョジョは、なにか困ったことがあれば、何でも空想上のヒトラーに相談し、アドバイスをもらいます。

 

このヒトラーは、あくまでジョジョの妄想であり、本当のヒトラーじゃありません。

ジョジョにとってヒトラーは「憧れのヒーロー」であり、言ってみれば赤レンジャーや仮面ライダーみたいなもんなんです。

 

なんでヒトラーに憧れを?と思うかもしれませんが、この時代はジョジョに限らずだれもが自分で答えを出すことが出来ていなかったわけで。

 

おじさんもおばさんもヒトラーに熱狂し、彼に国の未来を託していたんですジョジョの家には戦争により父親がいなかったため、自分が頼れる「誰か」を潜在的に求めていたのではないでしょうか。

 

しかし、ジョジョは母親が匿っていたユダヤ人少女エルザとの交流を通して「ユダヤ人」と一括りにはせず、目の前の「一人の少女」を愛するようになります。

「悪魔って言われていたけど…」と葛藤しながらも、自分自身で考え、ジョジョはエルザを信じることを決めるのです。

最後はヒトラーのアドバイスを無視し、さらにはヒトラーを蹴飛ばして窓から追い出すというコント番組みたいな別れ方をします(笑)

 

つまり、誰かの言葉(空想上のヒトラー)を借りなくても自分なりの信念を見つけることで、ジョジョは1歩大人へと成長を遂げました。

軍服を着て戦争ごっこを楽しむよりも、エルザを愛し、彼女の笑顔のために生きようと「社会」という大きな目線から「個」の目線をジョジョが学んでいくのです。

もう彼にはヒトラーのアドバイスは必要ないってことですね。

 

そして、この辺の成長過程は涙なしには見れないほど感動的でした…。ラストの白紙の手紙も、靴紐のシークエンスも、一つ一つのギミックに涙…。

一人の少年の成長物語としても本当によくできた作品でした。

スカヨハ最高!!!

主役のジョジョを演じたローマン君も本当に可愛いし、親友役のアーチー君もいい味出してるし、サム・ロックウィルも本当に良い演技でしたが…!

個人的には母親役を演じたスカヨハがMVPです!!!!

 

しなやかな女性らしい強さをここまで見事に演じられる女優、中々いないですよ。

戦争中で夫もいない状況でも悲壮感は全然なくて「最後はダンスを踊るのよ」と笑い、暖炉の煤を顔にべったり塗り父親に扮して「その口の利き方はなんだ!」とジョジョを怒ったりと、ユーモアたっぷりで心優しい母親を演じています。

 

何より、ヒトラーに憧れていくジョジョを無理に止めようとはせず、やさしく傍で見守るような演技も魅力的!「いつかはわかる時がくるわ」と程よく諭してあげる彼女が本当に美しいし、こういう母親になりたいと心底思いましたよ!

 

スカヨハって昔はミステリアスで浮世離れしたような美女みたいな役が多かったけど、今は地に足がついた役をすごく上手に演じますよね。「マリッジ・ストーリー」の母親役もすごく良かったですし。

 

私が映画を見始めたときからずーと大好きな女優さんなので、彼女が年齢ととも輝きを増し、女性として強く成長している姿にすごく勇気をもらえます。これからもきっとずーと大好きな女優です。

 

2020年も始まったばかりですが、こんなにも早く心からじんわりと温まる素敵な作品に出会えて満足です。いろんな人に見てほしい作品でした!