「ロケットマン」評価★4.0(5点満点)
世界的シンガー、エルトン・ジョンを描いた「ロケットマン」見てきましたー!
「ボヘミアン・ラプソディ」や「アリースター誕生」など、音楽映画が盛り上がりを見せていますが、果たして「ロケットマン」はいかに。
今回は映画「ロケットマン」のあらすじや感想をまとめていきます。普通にネタバレしてるので、ご注意を!
「ロケットマン」あらすじ
世界的歌手エルトン・ジョンの半生を、彼の名曲とともに描くミュージカル映画。
類まれない音楽の才能を持つエルトン・ジョンがいかにしてスターの道を駆け上がっていったのか。
生涯の盟友バーニー・トーピンとの出会い、そして自身のセクシャリティ、アルコールやドラッグ中毒に溺れた過去など、彼の波乱と苦悩に満ちた人生とは。
「ロケットマン」の監督とキャスト
■監督…デクスター・フレッチャー
監督はあの「ボヘミアン・ラプソディ」を途中から引き継ぎ、完成させた方です。
主演のタロン・エガートンとは「イーグルジャンプ」でも一緒に仕事していますね。
■キャスト
・ジョン・リード…リチャード・マッデン
etc...
「キングスマン」で大人気のイケメン俳優タロンくんがエルトン役に大抜擢!!
「キングスマン2」ではエルトンと共演していますよね。
ちなみにボヘミアンラプソディのように吹き替えではなく、「ロケットマン」はタロンくん自身が全曲歌っています!
タロンくんは映画「SING」でもエルトンの曲を歌っていますし、演劇学校に入学する際に試験で歌ったのもエルトンの曲だそう。不思議な縁ですよね。
「ロケットマン」の感想 ※ネタバレ注意
正真正銘のミュージカル映画
昨年大ヒットした「ボヘミアンラプソディ」の監督(後任ですが)なので、なにかと「ボヘミアンラプソディ」と比べられがちですが「ロケットマン」は全く別物です。
「ボヘミアンラプソディ」はあくまでライブシーンで歌うだけでしたが、「ロケットマン」は正真正銘のミュージカル映画。登場人物たちが急に歌うし、急に踊り出します。
「ボヘミアンラプソディ」みたいなのをイメージしていると「思っていたのと違う!」となってしまうので注意しましょう(笑)。全く別物のジャンルだと捉えてください。
で、その点をふまえて鑑賞した結果を言うと、ミュージカル映画として言えばかなり好きな部類でした。
全編通して、とにかくハッピー!
エルトンの名曲とともに皆が歌って踊って!
ポスターにも書いてあるように、2時間魔法をかけられたようにポーとトリップしているかのような感覚に(笑)
何よりタロンくんがすごい!天は二物も三物も与えるんだな!と驚くほどに多才。
ハゲ頭でもカッコいいしな!(笑)
ステージでは道化師のように明るく振る舞ったかと思いきや、裏では孤独に苦しみアルコールや薬物に溺れて…。エルトンの表と裏の顔を、ここまで演じきるとは。
男性とのシーンもあり、かなり思い切ったシーンをしていてビックリ。
あと、タロンくんが絶妙にキュートなのがいいんですよ。
お母さんにゲイをカミングアウトするシーン(口がモゴモゴするのが可愛い)とか、
バーニーに「うるせー!黙ってろ!」と叫んだ後に「ごめん」って呟くシーンとか。
彼のどうしようもない孤独ゆえの痛々しさと、タロン君がもつ絶妙な愛らしさが入り混じって、なんとも切ない。
エルトン自身のあの憎めないキャラクターを見事に体現していましたね。あれはタロンくんがそもそも持っている、人懐っこい雰囲気があるからこそ醸し出されるものだなぁ~と。
実は「ロケットマン」は「ボヘミアンラプソディ」よりも長い年月をかけて制作しています。
エルトンにせよフレディにせよ、これだけの世界的スターを演じる俳優を探すのは中々に大変な道のりだったようで…。
当初はエルトン役にジャスティン・ティンバーブレークの名も挙がったそうですが…確かにそれはそれで見てみたいかも(笑)。
孤独じゃないと芸術は生まれない
物語は中毒者のセラピー室のような場所から幕を開け、エルトン自身が過去を振り返っていくという流れになっています。
彼の人生はまさに「孤独」の一言に尽きます。
自分に無関心な両親、親友であり盟友バーニーとの叶わない恋、愛を教えてくれたはずのジョンの裏切り。
彼はずっと孤独で、埋まらない心の穴にもがき苦しんでいきます。
どんだけ自分の音楽が世界中で愛されて、莫大な富と名誉を得ても本当にほしい愛は手に入らない。
スターの宿命とはいえ、ものすごく切ないですよね。
そして、何よりも皮肉なのは孤独であるがゆえに、美しい芸術が生まれていくということ。どうすることも出来ない苦しみや悲しみがあるからこそ、芸術に昇華していけるんでしょうね…。せつねぇなぁ…。
そして、今作最大のクソ野郎男「ジョン・リード」。
エルトンを愛していると見せかけて近づき、本当は才能を利用して金儲けしたいだけの今作きってのヒールなんですが…。
実はこのジョン、あのボヘミアンラプソディのあのジョンと同一人物なんですね!
ボヘミアンラプソディだと可哀相なマネジャーでしたが、今作ではエルトンを陥れるという全然違う描き方でした。
エルトンも後々ジョンに対して、裁判を起こしているみたいですし。
孤独を感じると、人はどんなに胡散臭くても、目の前の抜け殻のような愛にすがってしまうのでしょうね。
本当の愛情は、実はすごく近くにあると気づかずに。
人生はいつでもやり直せる。自分が自分である限り
エルトンはどんどんアルコールや薬物中毒に堕ちていくのですが、現在は完全に中毒を絶ち、再びスターの座に返り咲きました。
しかも、愛する男性と結婚し、子ども(養子)との時間を増やすために今年いっぱいでツアーは終了すると発表しています。
自暴自棄になっていたエルトンからは考えられない姿ですね。
今作は人生のドン底に堕ちたとしても、人生はどうにかやり直せるよというエルトンからの力強いメッセージも込められています。
大事なのはありのままの自分を愛すること。そして、誰か一人でもありのままの自分を愛してくれる人がいれば、生きていけるということ。
エルトンにとって、その存在は生涯のパートナーとなるバーニーだったということですね。
彼の歌詞があったからこそ、エルトンは世界的スターになれたし、バーニーにとってもまた然り。恋愛的な愛情だけでなく、親友として、あるいは家族として「愛し愛されること」は人生には必要なんだなぁ~としみじみ。
総じていえば「ジェットコースター」的映画
こんな感じで音楽パートも人間ドラマも終始楽しいのですが、これらがガーーー!と物凄いテンポよく語られていくので、ちょっと途中で疲れます。
本当ジェットコースターに乗っているかのような疾走感。最後は「あ?え?もうショーは終わり?」と、急に現実に引き戻されるのでちょっとさみしい。
テンポが良すぎて、上手く感情移入できずに終わってしまった感は否めないです。
ちなみに、ラストはタロンくんが映画「SING」でも歌った「I'm still standing」で〆。
映画では当時のPVを再現しています。
「俺はまだ立っている」の歌詞は、治療を終え、再スタートを切ったエルトンそのもの。
PVをそっくりそのまま再現するって面白いラストだなーと思いました。エルトンのファンにはたまらない演出じゃないでしょうか。
正直言うと、実はエルトン・ジョンの曲はそこまで知らなかったですし、エルトン・ジョン自身のこともあまり知らなくて。
なので、鑑賞前は「楽しめるかなー」と不安でしたが、そんな不安は一切必要ないくらい楽しいミュージカル映画でした!
やっぱりミュージカル映画は映画館で見るのに限ります。是非、映画館にて鑑賞してください!