引用:https://eiga.com/movie/91443/photo/
「ガリーボーイ」個人的評価★3.9点(5点満点)
インドのラップ映画『ガリーボーイ』
ようやく私の地元でも公開になったので見に行きました!
インドでラップ!?と少々衝撃的でしたが、結果としては新しいインド映画の面白さを発見できた作品でした!
今回は「ガリーボーイ」のあらすじとネタバレ感想をまとめていきます。
「ガリーボーイ」あらすじ
インドで活躍するアーティスト・Naezyの実話をもとに、スラムで生まれ育った青年がラップとの出会いによって人生を一変させる姿を描いた青春サクセスストーリー。
ムンバイの貧しい家庭で生まれ育った青年ムラード。
両親は彼を大学へ通わせるため一生懸命に働いているが、そんな親の思いを知る由もなく、ムラードは悪友と車上荒らしに手を染め、医者の父を持つ身分違いの彼女と内緒で付き合っている。
自分の人生を半ば諦めて生きてきたムラードだったが、大学構内でフリースタイルラップのパフォーマンスをしていた学生MC Sherとの出会いをきっかけに、ラップの世界にのめり込んでいく。
親からの反対や友情、恋など様々な葛藤を抱えながらも、フリースタイルラップの大会で優勝を目指すムラードだったが……。
予告の音楽がすでにカッコイイ!!!英語のリズムやフローともまた違う、独特なラップですよね。
ちなみん、主人公の演技にはウィル・スミスも大絶賛。大人気スターまでこんなラブコールを送っているとは!
「ガリーボーイ」監督・登場人物
監督…ゾーヤー・アクタル
写真を見たら美人な女性監督さんでした。
けっこう作品を作っているようで、その手腕は高く評価されています。
キャスト
ムラド・アフメド(ガリーボーイ)…ランヴィール・シン
サフィナ…アーリヤー・バット
シュリカント(MCシェール)… シッダーント・チャトゥルヴェーディー
アフターブ・シャーキル・アフメド…ヴィジャイ・ラーズ
モイン・アーリフ…ヴィジャイ・ヴァルマ
宇多丸さんの映画評でも話していましたが、主人公のランヴィール・シンさんは他の作品だと全然キャラクター違います!
普段はイケイケキャラを演じることが多いようで、今回のムラドは全然印象違うので驚き。
そして、インド美女は本当に目の保養。みんな麗しい…。
「ガリーボーイ」ネタバレ感想
王道的な音楽映画!インドラップが超cool!
内容を一言で言うなら、王道的な青春音楽映画でした。
インドの格差社会で生きる若者がラップによって下剋上していく…というシンプルなストーリー。
この手の作品は音楽が肝ですが、その点は心配なく。全曲めちゃくちゃアガる、超絶かっこいい曲ばかりです。
お恥ずかしながらインド映画音楽といえば「みんなで歌って踊って!」的な音楽しか知らなかったので…劇中で流れる音楽がめちゃくちゃカッコよくてビビりました。
個人的にはシェールの「Sher Aaya Sher」が好きです。低音ボイスがたまんないっす。
音楽に国境はないとは正にこのこと。
クールな音楽はこの世に沢山あるんだな~!と感動しました。
ちなみに、映画はインドの実在のラッパー「Neazy」の人生をもとに描かれています。
ちなみに、彼を一躍有名にしたのがこのデビュー曲。
映画同様、iPadで撮影して、youtubeに投稿したところ、とんでもない反響があったそう。クソかっこいいっすね……。癖になるリズム…。
インド映画に偏見を持っている人も「こういうのもあるのか(孤独のグルメ風)」と新しい世界を楽しめる映画です。
あるいは、ラップ音楽好きじゃなくても人間ドラマも非常によく出来ているので、肩肘張らずに見れると思いますよ!
何故主人公にはラップが必要なのか?
主人公ムラドはラップ少年にありがちな「悪い奴、全員トモダチ」的なガラの悪い青年…ではなく、素朴で地味な印象の青年です。
むしろ、自己主張をあまりせず内向的とも言える性格。
そんな彼を変えたのが相棒のMCシェール。
大学で物おじせずに自分のラップを披露する彼を見てムラドは感動。
そして、シェールのSNSで見かけたラップバトに出向くと、彼に自作の歌詞を「これを使ってくれ」と渡します。
しかし、シェールは「何でおれが歌うの?」と拒否。「自分の言葉は自分で歌え」と教えてもらいます。夏に見た「ロケットマン」とは違う展開ですね(笑)。
このシェールの言葉、めちゃくちゃ良いですよね。
伝えるべき言葉があるからラップが出来るのであって、その言葉があれば誰もがラッパーになれるんだとムラドが知るシーンです。
それにしても、シェールが良い奴すぎて惚れるwぶっちゃけムラドよりも魅力あるキャラクターでした。
そして立場は違えど、こうやって文章を書いている私もハッとさせられました。
「伝えたいことがあるから文章を書く」のであって、目的と手段はごっちゃまぜにしてはいけないなと今一度確認。
今、洋楽界ではHIP・HOPが大きな盛り上がりを見せており、中でも黒人歌手が目立ちます。不安定な社会だからこそ生まれる歌があり、歌いたいことが溢れてくるのかもしれませんね。
この映画は単純に底辺からのし上がっていく、というよりも何も持たざる者が”言葉”で自己形成をしていく過程が面白いですね。
歌だけでなく、絵を書いたり、文章を書いたりするのは自己表現の一種。
自分の感情を表現していくには、弱い自分を向き合うことも必要です。
初めてのラップバトルでムラドが何も言い返せなかったのは、ムラドが自分の弱さに向き合えなかったからでしょう。
しかし、ラストのラップバトル予選。
彼は自分の弱さも苦しみも正面から向き合ったからこそ、相手の言葉にも動じずに言い返すことが出来た。
内向的で自己を上手く表現できなかった青年が、音楽を通して自己表現を成し遂げ成長する…。
この過程を丁寧すぎるくらい丁寧に描いている作品でした。
ただし上映時間は長い
映画音楽もストーリーも好きなジャンルだし、楽しく見れたのですが…とにかく上映時間が長い!2時間半くらいありますからね…。
そして、ところどころテンポが悪くなるので、途中から本当疲れてしんどかった…。
残念ながら私はラストに向けて気持ちが高まるというより、はよラップバトルしてくれ!って気持ちが勝ってしまいました(笑)
あの最初のサフィナの取っ組み合いとか必要だったのか…。
2時間以上の映画になると、何より頭痛と目の疲れが辛いですね…。
私「アベンジャーズ・エンドゲーム」を見た時も帰り道でグロッキーになってましたしね。
よくよく考えると映画って…
・暗い部屋で強い光を長時間あびる
・大音量で音楽を聴く
・あんまり飲み物飲まない(トイレ行きたくなるから)
映画鑑賞って体調不良を引き起こす原因のオンパレードですよね。。。
次、2時間半近い作品を見るときは、最初に鎮痛剤を飲んでおきます(笑)
何か良い対策知っている人は教えてください( ; ; )!
評価をマイナスにしたのはテンポが悪く中だるみ感は否めなかったこと、あとそれが原因でラストに向けての興奮が薄れてしまったことが理由です。
とはいえ、ラストの曲は超アガります!自然とリズムを取りたくなる。
あと30分短ければ、このシーンをより楽しめたと思います(笑)
インドラップという新しい世界を見せてくれた今作。今までインド映画を避けてきた人にも是非見てほしいです!
評価は下げてますが、なんだかんだ言っても、音楽がとにかく最高過ぎるのでSpotifyでひたすらサントラを楽しんでます(笑)。
インド映画ってやっぱり外れないですね。今後も見逃せないです!