『バジュランギおじさんと小さな迷子』評価★4.4(5点満点)
『バジュランギおじさんと小さな迷子』見ました!
前評価は高く気になっていたのですが…最初に言うと2019年のトップ5には入るであろう映画でした!!!!
そんな最高の映画『バジュランギおじさんと小さな迷子』のあらすじ・感想をまとめていきます!
『バジュランギおじさんと小さな迷子』のあらすじ
パキスタンののどかな村に住む少女シャヒーダーは、生まれつき言葉が発することが出来ず、村の長の勧めでインドのデリーで参拝に行くことに。
兵役経験のある父はビザの取得ができないため、母一人で行き参拝しに行くことに。
しかし、その参拝の帰り道、ある出来事がきっかけでシャヒーダーはインドに取り残されてしまう。
シャヒーダーは貨物列車に乗りインドの街に着くが、そこで宗教心の強いインド人青年パワンと出会う。声の出せない彼女から居場所を聞き出すことも出来ず、結局警察にも追い出され、家に連れて帰ることに。
しかし、ある日シャヒーダーがパキスタンから来た少女だと知ることになる。ポキスタンに少女を帰そうとするパワンだが、インドとパキスタンでは緊張状態が続いており、ビザの発行も停止してしまう。
パワンは危険を承知で、パキスタンに少女を届けるための旅に出るのだが…?
インド映画と言えば昨年大ヒットした「バーフバリ」や、
インド映画の代表格とも言える「きっとうまくいく」など、
日本でも地位を確立したジャンルですよね。予告では、今作がこの2つに続く新しいインド映画!的なノリで紹介されています。
『バジュランギおじさんと小さな迷子』の監督・キャスト
■監督
カビール・カーン
wikiを見て初めて知りましたが、今作は本国インドでは2015年に公開しているようです。インド映画が流行っている背景もあり、日本で公開が決まった感じですかね。
■キャスト
パワン(バジュランギ)…サルマン・カーン
シャヒーダー(ムン二)…ハルシャーリー・マルホートラ
ラスィカー…カリーナ・カプール
チャンド・ナワーブ…ナワーズッディーン・シッディーキー
キャスト一人一人の演技が輝いていて、もう本当泣かせられた…!!
特にシャヒーダー役の子役は5000人のオーディションから選ばれたのも納得の演技力。あの無垢な瞳と笑顔にがとにかく泣ける…。
インド映画は役者陣もみんなみなぎる様な活力があふれ出ていて見ているだけでも楽しい!
『バジュランギおじさんと小さな迷子』の感想
宗教も国も関係ない。大事なのは「愛」だ!!!
宗教心が強い主人公パワン(バジュランギはあだ名みたいなもの)と、声が出せない少女シャヒーダー(パワンには”ムンニ”と呼ばれています)のロードムービー映画です
とにかくね!女の子が本当にかわいい!!!!
声が出せない難しい役どころなんですが、あのクリっクリの澄んだ目と小さな体で見事に演じきってました。そりゃこんな可愛い子、置いて行くこと出来ないわなと納得してしまう愛らしさ…。この子を見つけ出してきた人、本当GJ。
シャヒーダーは声も出せないし読み書きも出来ないので、どこから来たのか全く分からない状態。
しかし、少女がパキスタンが勝利した際にダンスをしたことで彼女の出身が判明します。マジか!と驚く、主人公ですが「お前を助けると神に誓った」という理由で少女を母親のもとに返すためにパキスタンへ。
で、道中では「インドのスパイだ!」と捕まったり、警察から逃げたりとドタバタ珍道中…的な展開になります。
その道中で出合うパキスタンの人たちが主人公の行動や言葉により、どんどん心を改めていく過程が描かれます。まるで主人公が神様の如く人々の凝り固まった心を、多大なる愛情で溶かしていくのです。
ちなみに、インドとパキスタンは長くにわたり争いが続いている国です。さらっとWiki見ておくと、映画の内容もより分かりやすくなりますよ。
彼は神様に誓ったからというだけでシャヒーダーを助けますが、本当に突き動かしているものは何か。
それは名誉でも金でもない。少女を助けたいという「愛」なのです。
陳腐なテーマにも思えますが、未だに緊張状態が続くインドとパキスタンにとって、このテーマは深く刺さるものなのではないでしょうか。
劇中で主人公と少女を追うパキスタンの記者が、両国の国民に対してこう問いかけます。
「子どもたちには憎しみではなく愛を伝えましょう」
この言葉を受けて、国民たちがラストにある行動を起こす…というのが物語の結末になります。その結末はぜひご自身でご確認ください。
この先の未来を担う子供たちに何を残し、そして何を残さないのか。
どんな国の人でも、どんな宗教の人でも、あるいは年齢や性別に限らず、ついつい忘れてしまいがちな人間として一番大事なことを教えてくれる映画です。
見終わった後は、心が浄化されて、ものすごく優しい気持ちになります。こういう思いを忘れずにいたい…そんなことさえ考えさせるヒューマンドラマでした!
これはインドとパキスタンだけの話?
そもそもパキスタンとインドの関係さえ知らなかったので、見終わって歴史を調べました。両国は1947年を皮切りに、その後も何度か争いが起きていて、今なお緊張状態は続いています。こうやって映画から知識を得られるのは楽しいですね。
映画内ではインドとパキスタンの関係性を描いていますが、これはどの国にも通用する普遍的なテーマではないでしょうか。
アメリカだってイランと緊張状態にありますし、日本だってテレビ番組で平気でヘイトスピーチを放送している時代です。
映画内でパワンを警察からかくまってくれたバスの運転手が「あなたみたいな人が両国にもっといればいいのにね」と言います。
マスコミによるヘイトに毒されて、本当に大事なものを見失っている大人も多いんじゃないでしょうか。
憎しみから生まれるのは憎しみしかない。そのことを子供たちに伝えなくちゃいけないのは、大人である人々のはずなのに。
大人が堂々とヘイトをまき散らしてどうする!
一人の少女さえ守れない大人たちが、国をどう守るのか?
お国のお偉いさん方よ。自分の利益だけ血眼になって守るだけじゃなく、国民の平和を守ることも頑張ってくれよ。
それが出来ないなら、せめて私だけでもパワンのような人でありたい。そういう人を増やせる国でありたいよね。
日本でこれだけ面白い映画が作れるか?
いやー去年は「バーフバリ」に熱狂していましたが、今年もこんな最高のインド映画を見れるとは思いませんでした。
それにしてもインド映画って、お国柄なのか何なのか、こんなにも底ぬけて明るく優しい作品をよく作れますよね。他の国では出せない雰囲気。
あと、インド映画の凄いのは「面白い映画」を真面目に作っていることだと思うんです。
ぶっちゃけインド映画って「急に歌って踊るんでしょw」的な、ちょっとB級映画っぽい目で見ている人もいると思うんですよ。
でも、これだけエンタメ性とメッセージ性がしっかりあって、なおかつ面白い映画って、日本でほとんど無いですよ。
日本なんてどーでもいい実写映画ばっっかりで、メッセージなんて皆無。人気タレントにキャーキャー客寄せパンダが来ればいいだけですから。
日本でも昨年は「バーフバリ」が大きなムーブメントとなりましたが、こんな遠い島国の人々をひきつける面白さがあるんですよね。
文化も雰囲気も人も、何もかも違う国であろうと、本当に面白い映画は国境を越えて私たちに問いかけてくれるものがある。そういう映画が日本でももっと増えたらいいな。
劇中でちょいちょい聞き覚えのない単語が飛び交うのですが、そういう知識をすっとばしても単純に映画として面白いです。
神様の名前とか「聞いたことはあるなぁ…」程度でしたが、あとあと調べてみて「へー」と勉強になりました。こういうのも映画の楽しみですね。
本当に素晴らしい映画でした!是非みなさんも見てください!