『天才作家の妻-40年目の真実-』ネタバレあらすじ&感想!思ったよりも笑える老夫婦の愛の物語

『天才作家の妻-40年目の真実-』個人的評価★4.1(5点満点)

『天才作家の妻-40年目の真実-』見ました!予告では「なんか小難しい作品なのかなー」と思っていましたが、思った以上に笑えて最後は心温まるような作品でした!

ネタバレあらすじや感想をまとめていきます。

『天才作家の妻-40年目の真実-』あらすじ

アメリカの作家ジョゼフはノーベル文学賞を授与が決まり、妻と息子とともにストックホルムへ向かう。

しかし、そこに突然記者ナサニエルが現れ、妻のジョーンはジョゼフのある疑惑を持ちかけられる。それは、ジョセフは本当に小説を書いているのはジョゼフではなく、ジョーンなのではないかという衝撃的な話だった。

授賞式を目前にしながら、おしどり夫婦として知られるジョゼフとジョーンの間に徐々に亀裂が生まれ始め…。

『天才作家の妻-40年目の真実-』の監督・キャスト

■監督…ビョルン・ルンゲ

今作で初めて監督の作品を見ました。珍しい名前だなと思ったらスウェーデンの方なんですね。

 

■キャスト
ジョーン・キャッスルマン…グレン・クローズ

ジョゼフ・キャッスルマン…ジョナサン・プライス

ナサニエル・ボーン…クリスチャン・スレーター

デヴィッド・キャッスルマン…マックス・アイアンズ

 

演技派女優グレン・クローズが主演を務めています。ショートヘアがすごく似合っていて、とにかく美しい!品のあるマダムって感じ。

『天才作家の妻-40年目の真実-』ネタバレと感想

ネタバレあらすじ

物語はアメリカの作家ジョゼフがノーベル文学賞を受賞し、妻のジョーンと息子デヴィッドとともにストックホルムに向かうところから始まります。

しかし、記者ナサニエルがジョゼフの経歴に疑いを持ち、本当はあなたが執筆しているのでは?とジョーンに問いただす。

 

実はその疑惑は正解で、ジョーンは類まれない文学の才能がありながらも、学生時代ある女性作家から「女性の作家なんて売れない」と言われたことで作家になる夢を諦めていたのです。当時は男性優位な世の中だったので、女性がどんなに才能があろうと認められない時代でした。

 

そもそも、ジョーンとジョセフは大学時代の教授と生徒という関係で、しかもジョゼフは妻子持ち。自身の才能を見出してれくれたジョゼフに惹かれ、ジェーンは略奪婚!しているのです。

作家の道を諦めていたジョーンですが、ある日勤務先(出版社?)の上司が「良いユダヤ人作家を探している」の一言にひらめき、ジョゼフの原案をもとにジェーンが小説を完成させ、上司に提出します。

 

作品はジョゼフの名前で出版され、その名は文学界でどんどん知られていくようになります。その後も、アイディアを思いつくのはジョゼフ、それを書いていくのはジョーンという関係で作品を作りあげていきます。


しかし、夫がノーベル賞を受賞し称賛される中「妻は書かない」と皆の前で言われ、あげくのはてにはジョゼフが随分と年下のカメラマンを口説いたことを知り、ジョーンはついに堪忍の緒が切れて「離婚する!」と大騒動に。

 

しかし、ジョーンとジョゼフが言い争っている最中に、突然ジョゼフが心臓発作を起こし帰らぬ人となってしまいます。

 

ラストは帰りの飛行機が映し出されます。ジョーンは「奥さん、ずっと陰にいるつもりですか?」とそそのかしていた記者ナサニエルに対し「あなたの言っていたことは事実ではありません。夫の名誉を傷つけるのは許しません」とピシャリ。

同行していた息子には「帰ったら全部話すわ」と話し、物語は幕を閉じます。

思ったよりも笑える作品

浮気癖があるどうしようもない男と、そんな男を好きになってしまった才女の凸凹夫婦が何とも面白い。ところどころ「www」と吹いてしまった。

今流行りの「女性を抑圧するな!」的なテーマではなく、ある夫婦の愛の物語でした。

いびつさはあるものの、こういう愛の形だってアリだよねと思えるラブストーリーです。

 

アカデミー賞受賞か!?と言われていたグレン・クローズの演技は言わずもがな素晴らしいです。女性の内なる怒りや憎しみ、そして愛情という非常に複雑な感情を見事に表現していました。

後、個人的には夫役のジョナサン・プライスダメ男っぷりが最高によかった!(笑)。昔はブイブイ言わせてた色男が、ただの変態おやじに成り下がっているさまが最高w

 

年下の美女カメラマンを口説く手法が、若き妻を口説いたときと全く一緒なのも最高にクソ男過ぎて笑える。書き間違えた名前を、舐めた指で修正しているのもキモくて、惨めで大好き。

 

逆上する妻に対してノーベル賞のバッチを「こんなの捨ててやるよ!」と車から捨て、あとで運転手に見つけてもらうシーンも笑ってしまった。

クソ男過ぎるけど、確かになんか憎めない。そういう絶妙なバランスを見事演じきっていました。

男が惨めであればあるほど、グレンの凛とした美しさが際立って、本当に良いコンビだなと思いました。

 

夫婦って一筋縄ではないんだなーと思える、そういう熟成した雰囲気がとても素敵でした。

2人が「ふざけんな!」とケンカしている最中に、長女からの出産報告の電話があって「こんな幸せな瞬間ないよなぁ」とお互いで泣きながら抱き合うシーンが最高に好き。

さっきまで二人でブチ切れあってたのに、コロッと夫婦に戻るところが何だか愛しい。夫婦ってこんな感じなのかな(笑)。

愛は一人では埋まらない

個人的には、この2人の関係性はなんだなんだ良いなと思っちゃいましたけどね。

2人は正反対の性格だからこそ足りない部分を補えていたし、自分にはない部分を惹かれあってたんじゃないかな。

 

何よりジョーンにしてみれば女性の才能を認めない男性が多い時代で、ジョセフは自分の才能を見出し、ずーと信じてくれたかけがえのない存在だったのでしょう。

ジョゼフはジョーンが小説に集中できるよう子育や家事をして、彼女の才能をずっと支えてくれていましたし。2人でせっせと小説を書いている時間は、なんだかんだお互い幸せだったんじゃないですかね。

 

ただ、時代の流れと共に「軋み」が生まれ、心がすれ違ってしまったんでしょうけど。

ぶっちゃけ、あそこで彼が亡くなるのは唐突ですし、亡くなったから彼女は再び彼を愛せたのではとも見える。

あれで離婚してたらジョーンは彼のことなんて忘れて自由にのびのびと生きてたでしょうし(笑)。

 

彼の面影を背負って生きる結果になったのかもしれないけど…でも2人で協力しながら作品を書いていた過去は消せないし、そのとき感じた愛情も無くなるわけではないんだろうな。

お互い、必要不可欠な存在だったということなんでしょうね。色んな意味でね。

 

女性からしたら「こんなの男性側が都合の良い女性を描いているだけじゃん!こんな時代遅れな女性、今時いるか!」と思うかもしれません。

 

でも、時代に限らず、こういう女性がいてもいいんじゃないのと思えました。

キャプテンマーベルのように強い女性ばっかりだったら、うまいこと世の中まわらんでしょ(笑)。

 

鑑賞前はもっとジメジメとした暗い作品かと思いましたが、思ったよりも笑えるシーンも多くて、個人的には好みの作品でした。

何より2人の夫婦の演技が本当にステキ。夫婦ってきっと色々あるし、だからこそ楽しいのかも。そんなことを考えさせられた映画でした!