『ビリーブ未来への大逆転』評価★3.8(5点満点)
『ビリーブ未来への大逆転』を見ました!アメリカでは大人気のルース・ベイダー・ギンズバーグの伝記映画ですが、同じ女性として勇気をもらえる内容でした!
そんな『ビリーブ未来への大逆転』のあらすじや感想をまとめていきます!
『ビリーブ未来への大逆転』あらすじ
アメリカ合衆国最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの実話をもとにした伝記映画。多数の性差別問題の裁判に挑み、米国内ではリベラル層に絶大な人気を誇る彼女の、学生時代から弁護士としてキャリアを開花させた過去を描いていく。
コロンビア大学を首席で卒業したルースだが、「女性だから」という理由でニューヨークの法律事務所に就職できず、大学の教員の仕事を始める。
弁護士としてのキャリアを諦めかけていた彼女だが、ある日夫のマーティンから渡された、モリッツという男性の所得控除が却下されたという案件に興味を持つ。
モリッツは独身で一人で母の世話しており、母の介護の所得控除を求めたのだが法律で認められているのは「女性、妻と死別した男性、離婚した男性、妻が障害を抱えている男性、妻が入院している男性」だと言う。
ルースはこれは法律における性差別なのではと考え、モリッツを説得し訴訟を起こす。法廷経験のない彼女はマーティンの協力を得ながら裁判に挑むが…?
『ビリーブ未来への大逆転』のキャスト
監督…ミミ・レダー
キャスト
ルース・ベイダー・ギンズバーグ…フェリシティ・ジョーンズ
メル・ウルフ…ジャスティン・セロー
ドロシー・ケニヨン…キャシー・ベイツ
主演のフェリシティ・ジョーンズは『博士と彼女のセオリー』で数々の賞レースにノミネートされていましたね。背がちっこくて可愛いですね!
アーミー・ハマーは最近ノリにのっている俳優さんですね!たくましい肉体も素敵ですが、この人声がセクシーだよね。バリトンボイスが心地よい…。
『ビリーブ未来への大逆転』の感想
「女だから」にイラッとしたことがある人は必見
アメリカの最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ、通称RBG。
日本だと馴染みの無い人物ですが、実はアメリカでは絶大な人気を誇る女性なのです。
なんとティーンからもアツい支持があり、マグカップやTシャツなど彼女のグッズは飛ぶように売れているのだとか。
何故、86歳のおばぁちゃんで最高裁判事がアメリカで人気を得ているのか。この映画はそんな彼女の秘密をひもとく伝記映画です。
アメリカでは映画公開時にチケットがほとんど売り切れ状態だったそう。
ちなみに2019年の春には、彼女のドキュメンタリー映画も公開されていて、こちらも高く評価されています。私はこちらのドキュメンタリー映画を先に見ていました。
ルースが何故ここまでに絶大な人気を誇るのか。
それは彼女がリベラルな思考を持ち、性差別の問題に大いに貢献したというのが大きな理由の一つです。
ルース自身、学生時代から性差別に苦しみ、その経験があるからこそ弱者に寄り添える。
まさに彼女はアメリカ国内では、女性ヒーローなのです。実際にアメコミヒーローをコラージュした画像もあるんですよ(笑)。
ルースは大学時代誰よりも優秀な成績をおさめていたものの「女だから」という理由で、どの法律事務所からも相手にされずにいました。
ルースが働き始めた1970年代、女性は残業もできないし、自分名義でクレジットカードも作れない…など性差別がまだまだ残っていたのです。
ルースは自分の夢を諦めて、弁護士ではなく教授として大学に就職。
しかし、その後ある裁判をきっかけに、歴史が変わるような人権に関する裁判をいくつも担当していきます。
映画はそのきっかけとなった裁判をメインに、彼女の大学から就職までの苦労や最愛のパートナーマーティンとの愛について描かれています。
作中では、ぞっとするような男性からの性差別のオンパレードの中で、彼女はどうやって弁護士としての地位を確立したのか。
その苦しい過程は同じ女性として見ていて苦しくもなりますが、最後は勇気づけられる内容となっていました。
「女なんだからさ」的な発言でイラッとしたことがある人は、この映画を是非見えほしいです。見終わった後は、スーと爽快になるはず。
そして、彼女が訴え続けている「人権」について考えさせられるでしょう。
「女だから」「男だから」ではない。
人間として平等に持っている権利とは何か。そんなことを考えたくなる映画です。
ドキュメンタリー映画とセットで見ると◎
出来ればドキュメンタリー映画とセットで見た方がいいと思います。特に日本人は彼女のことあまり知らないと思うので…。
映画は結構ストーリーがサクサク進むので、バックグランドがちょっと分かりにくいかもしれません。特に学生時代の苦労とか。
あと、特にマーティンとの出会いや二人の愛については、今作は少しあっさりめ。このご夫婦、本当にすばらしい関係でそこも彼女が愛されている所以の一つなんですよ。
映画では描かれていませんがマーティンはこの後、彼女が弁護士として活躍していくのを支えるために、自分は弁護士を辞めて家庭のサポートするんです。
マーティン自身も税関系の弁護士としてはNYでトップレベルだったそうですが、それでも「彼女のやっていることは、とても重要なことだから」と彼女に代わって、子どもの世話や家事を担当したのだとか。
映画内でも描かれてはいますが、マーティンはこの時代の男性としては珍しい考えの持ち主で、ルースの才能を誰よりも信じていた人物なんです。
彼がいたからこそ、ルースは活躍できたし、ルース自身もそう明言しています。
ドキュメンタリーだと、より深くルースとマーティンの関係を知れるので、是非合わせて見ていただきたいです。
裁判って難しいんだな(バカの感想)
裁判をメインにした映画ってけっこうありますけど、この映画は裁判ってこんなことしたり、こんな風に進むのか~と驚く場面も多々ありました。
例えば、裁判のロープレ的をする場面は、弁護士さんでもこんなことするのか!と驚きでした。新人とか経験の少ない弁護士さんはこういうことをしてるんですかね?
あと、裁判って言葉と言葉のやり合いなので、物凄く不確かで曖昧な戦いなんだな~と。
そんな意図はなくても「それってこういう意味?」とか「それだと○○ってことだよね」返されて、モゴモゴしちゃうとアウトなんでしょうね。
言葉の一つ一つに細心の注意を払って、頭をズーとフル回転して。改めて弁護士さんって凄い仕事だと思い知らせられました。
リーガル・ハイのように論破!論破!論破!ってだけの世界ではないんですね…(笑)。
実際に裁判を生で見たことないけど、こんな感じの緊張感が漂っているのかなと思わせるシーンでした。すごく見ごたえある。
そもそも、これほどまでに彼女に注目が集まっているのは、他でもないトランプ政権の影響です。
アメリカでは最高裁の持つ権力は非常に大きいそうで、判事が誰になるのかは、国の将来がかかっているとも言えるほどだそう。
しかしトランプ政権により最高裁に保守派の判事が増え、移民、同性婚、人工中絶などの人権問題が再び大きく揺れ動いているのです。
そんな混沌としたアメリカ社会の中で、ルースは一筋の希望でもあるのでしょう。アメリカ人が憧れる、ルースの生きざまを是非ご覧くださいませ。