『YESTERDAY(イエスタディ)』個人的評価★3.8点(5点満点)
―――もし、誰もビートルズを知らない世界になったら?
そんな世界的大スターをテーマにした映画『YESTERDAY』を見ました。
思っていたよりもコメディ色が強く、娯楽映画として楽しめましたが…
せっかく良いテーマなのに、それが生かしきれていない残念な作品でした。
今回は『YESTERDAY』のあらすじや感想をネタバレありでまとめていきます。
『YESTERDAY(イエスタディ)』あらすじ
売れないシンガーソングライターのジャックが音楽で有名になるという夢をあきらめた日、12秒間、世界規模で謎の大停電が発生─。
真っ暗闇の中、交通事故に遭ったジャックが、昏睡状態から目を覚ますと… あのビートルズが世の中に存在していない!
世界中で彼らを知っているのはジャックひとりだけ!?
ジャックがビートルズの曲を歌うとライブは大盛況、 SNSで大反響、マスコミも大注目!
すると、その曲に魅了された超人気ミュージシャン、エド・シーランが 突然やって来て、彼のツアーのオープニングアクトを任されることに。
エドも嫉妬するほどのパフォーマンスを披露すると、 ついにメジャーデビューのオファーが舞い込んでくる。
思いがけず夢を叶えたかに見えたジャックだったが─。
公式サイトより引用:https://yesterdaymovie.jp/
映画館には比較的ご年配、いわゆるビートルズ世代の方が多いようでした。
けっこう皆ケラケラ笑っていたので、劇場内も明るい雰囲気で包まれていましたねー。
基本はコメディなので「ビートルズなんて知らないよ」という若い世代でも楽しめる作品ですよ!
『YESTERDAY(イエスタディ)』キャスト・監督
監督…ダニー・ボイル
脚本…リチャード・カーティス
アカデミー賞作品『スラムドッグ・ミリオネア』の監督ですね。
脚本は『ブリジット・ジョーンズの日記』『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』など、数々のラブコメを手掛けた方ですね。
…ぶっちゃけ脚本に無理あるなーと思いながら見ていたのですが、脚本家が手掛けた作品を見て納得…。
突っ込みどころ満載の作品なので「細かいことは気にするな!笑え!」精神が許せない人は見ない方がいいですw
キャスト
ジャック・マリック役…ヒメーシュ・パテル
エリー・アップルトン役…リリー・ジェームズ
エド・シーラン
ロッキー役…ジョエル・フライ
主演の人はテレビドラマで活躍されているそうですが、とてもきれいな歌声でビックリ!彼が全力で歌う「Help!」のライブシーンが忘れられない(笑)
しかし、今回は何といってもリリーちゃん一強!彼女の演技と可愛さに打ちのめされました。
エド・シーランがエド・シーラン役で出演しているのも必見(笑)
『YESTERDAY(イエスタディ)』ネタバレ感想
音楽映画と見せかけたコメディラブストーリー
ビートルズをテーマにしているのでがっつり音楽映画かと思いきや…中身はコメディラブストーリーでした。
「売れないミュージシャンがビートルズの曲で一躍スターに!?」とトンでも設定ながらも、一番のテーマは幼なじみとの切なく甘酸っぱ~い恋物語。
正直ご都合主義すぎる展開なので、あまりアレコレ考えて見る映画じゃないです(笑)
とはいえ、かなりテンポよく物語が進み、コメディセンスも高いので、何だかんだ飽きずに見ることが出来ました。
あと、何よりジャックの幼なじみエリーを演じる、リリージェームスちゃんが最高すぎます。
彼女のみずみずしい演技がこの映画の最大の魅力で、彼女の存在にかなーり助けられていると思います。
主人公ジャックをかいがいしく支え続けるという時代錯誤も甚だしい設定ですが、このような役柄を嫌味なく演じられるリリーちゃんに圧倒されました。
リリーちゃんの可愛さを堪能するだけでも見る価値があります(笑)
リリーちゃんのヘアスタイルと衣装が可愛くて目の保養でした★
あと、エド・シーランも最高!
音楽配信サービス「spotify」の世界ランク1位の歌手が、自分の役で出演するってどんだけ豪華な設定なんだ!(笑)
そんな最強歌手なのに、けっこうディスられてるし、けっこう不憫な役を演じていて驚きました。
この役引き受けるって、多分エド・シーランめっちゃいい人だと思う(笑)
あなたのビートルズはどこから?
ある日を境に、世界中の皆がビートルズを知らない世界になってしまう…。
これが大きなテーマなんですが、面白いのがビートルズがいないってことは「オアシス」も存在しない世界になってしまうんです。
彼らはビートルズの影響を受けまくっているからです。ちなみに、ローリング・ストーンズは存在します(笑)。
ってことは、ビートルズがいなければ、いま私が聞いているUKバンドたちも生まれなかったかも…?と思わず考えてしまうユニークな設定でした。
邦楽だって、今人気のバンドたちが生まれなかった可能性だってあるわけで。
ちなみに、私(20代後半)が初めてビートルズを知ったのは、小学生のころ吹奏楽部で演奏した「Let it be」でした。
そのときは「ビートルズ」は知りませんでしたが、子供ながらに「いい曲だなあ」と、よく口ずさんでいました。
その後、高校の時に村上春樹の「ノルウェイの森」を読み、実際のビートルズの曲を聴き、衝撃を受けましたね。
私が生まれる前に作られた曲なのに、なんちゅー前衛的な音楽なんだ!と驚きました。
それから、ようやくビートルズの曲をちゃんと知ったって感じですね。
こんな感じでド世代じゃなくても何らかの形で「ビートルズ」と出会い、彼らの音楽に絶対触れているんですよね。
それってすごいですね。もう共通言語みたいなもんじゃないですか。
劇中でも「ビートルズのいない世界は味気ない」って台詞がありますが、確かにそうだなぁとしみじみ思いました。
ビートルズが各芸術分野に与えた影響って、とんでもなく大きいんだなーと改めて実感。
本当に大事なのはお金?愛?※ネタバレあり
ジャックは富と名声を得つつも、それは自分の曲で熱狂させているわけではない。
音楽会社は自分を単なる「商品」としてしか見ていない。
スターとして駆けあがっていく中で、大事なエリーとも離れ、自暴自棄になっていくジャック。
本当に自分のありのままの姿を愛してくれる存在が、どれだけかけがえのないものか。
ジャックはようやくその事実に気が付きます。
そして、それを教えてくれるのが、あのジョン・レノンというまさかの展開。
要はジャックの世界軸では、ジョンレノンは生きていて、田舎の浜辺近くでのんびりと幸せに暮らしているんです。
ちょっと寂れた小さな家にいながらも、芸術と自然を愛しながら暮すジョン。
一世を風靡した大スターとはちょっとかけ離れた生活ながらも、ジョンは幸せそうに穏やかな暮らしをしています。
ジャックが幸せになる方法を聞いてみると「自分に嘘はつかず、愛する人に愛していると言いなさい」とアドバイス。
それを聞いたジャックは、エドのライブに飛び入り参加し真実を暴露。
「僕の曲はビートルズってバンドの曲なんだ。騙してごめん。
でも、彼らの曲は最高だから、誰でも聞けるようにする。
ネットで無料配信するよ」
と宣言し、エリーちゃんに愛の告白をして、ようやく彼らは結ばれます。
正直、このラストはまぁ良いといえばよいですが…
大きな風呂敷を広げたわりには、最終的にはけっこう身も蓋もない結末を迎えているような…。
ラストは「ふつーがいいよね」みたいなこと言ってて、「え?それがテーマなの?」と思ってしまった(笑)。
まあ「All you need is love」ってことですかね。そうしときましょうか。
雑な部分が多すぎる
正直、結末部分もそうですが、全体的に雑な部分が多すぎるんですよね。
一番謎なのが、ビートルズの曲を覚えている男女2人。
彼らが何故ビートルズの曲を覚えているか、全く説明が無くて終始モヤモヤしてました。
記者会見シーンも謎です。彼らがジャックを追い詰めるようなセリフを言うんですが、あれは何の意味があったのか…。
見終わった後、アレコレ考えても意味不明なんですよね(笑)
こういう細かい部分まで練り上げていないのが見えてきてしまい、手放しに褒めることが出来ないですね。
総括すると、期待していたほどではないですが、それなりに好きなかなというビミョーな映画でした(笑)
しばらくはビートルズを聞いて過ごそうと思います♪